概要・フランジタイプ
構成
MSEスタティックミキサーは、貫通孔を有する中間板の両側に混合エレメントを配置して、ブラインド板で挟持します。組立はボルト及びナットで固定するだけです。これをフランジ間に設置することにより、配管内で流体を混合することができます。ボルト及びナットの緩み止め対策として、緩み止めナットを採用しています。
MSEスタティックミキサーは、シンプルで効率的な構造を有するため、短い距離で効率的に流体を混合することができます。気体でも液体でも混合することができます。
混合原理
流体はブラインド板により直進を阻止され、上流側の混合エレメント積層体の外周部から積層体内部を通過して中空部に流出します。中空部に到達した流体は中間板の貫通孔を通過し、下流側の積層体の内周部から積層体内部を通過して外周部に流出し、配管内に戻ります。流体は、上流及び下流の積層体を通過する際に、「概要および基本原理」に示したように、積層方向及び半径方向に分割・合流し、さらにせん断等により混合されます。
混合の様子
緑色に着色した水と流動パラフィン(粘度:70mPa.s)を混合しています。
設置例
フランジ間に挿入するだけで流体を混合することができます(図(a))。既存ラインに設置する場合には、図(b)または図(c)のように中間板の片側だけにMSEスタティックミキサーを配置することにより、直管部にもエルボにも容易に設置することができ、また既存ラインにも設置することができます。
圧力損失
MSEスタティックミキサーの圧力損失の測定データを図に示します。混合エレメントの積層枚数、混合エレメントの配置等により、圧力損失および混合性能をコントロールできます。
スタティックミキサーによる混合状態の可視化:JIS B 8702による測定
配管内を0.5m/sec.で流れる水流中に、蛍光顔料で着色した流体を注入してスタティックミキサーに供給し、スタティックミキサー出口に設置された可視化流路に導入します。可視化流路内で流体が流れる透明アクリル配管に対してレーザーシート光を垂直に照射し、(1)ミキサーを設置しない場合、(2)ケニックス型スタティックミキサー及び(3)MSEスタティックミキサーを設置した場合について管断面の状態を撮影します。 得られた断面画像の静止画に対して統計処理を行い混合性能について5つの指標を算出します。 なお、本測定方法は当社提案により平成27年度 経済産業省「新市場創造型標準化制度」に採択され、2018年8月に「JIS B 8702静的流体混合装置による混合性能測定方法」として制定されました。 可視化流路の詳細
水との相溶性の高いグリセリンを注入した場合
ミキサー無しの場合は、着色したグリセリンによる蛍光領域が明確に観察されますが、スタティックミキサーを設置した場合は両ケースとも蛍光領域は観察されず、混合が進行していることが示されています。
水との相溶性の低い1.5wt% CMC水溶液(粘度約1.9 Pa.s)を注入した場合
ミキサー無しでは、グリセリンの場合と同様に蛍光領域が明確に観察されます。一方、スタティックミキサーを設置した場合は、ケニックス型では明瞭な蛍光領域が観察されるのに対し、MSEでは蛍光領域はほとんど観察されず、より混合が進んでいることが示されています。
水に不溶性である食用油を注入した場合
MSEスタティックミキサーで水と食用油を混合しました。油粒子が微細されている様子がわかります。 当該方法は、例えば以下のようなケースを対象としても活用できます。
- 同種スタティックミキサーにおける構成・構造の変更等設計変更による混合性能比較
- 負荷変動に対するスタティックミキサーの混合性能確認
- 同種流体の混合における流体の物性変化による混合度の変化
MSEスタティックミキサー:特徴・用途
特徴
- 短距離で効果的に混合
- 取り扱いが容易
- フランジ間に挟むだけ、または配管にねじ込むだけなので設置が容易。
- 積層枚数・積層パターンの変更により、異なる運転条件に対応可能。
用途
気体または液体の混合
液中への気泡分散
希釈、濃度調整、pH調整
流量差・濃度差の大きい流体の混合 等
- 粒子等によりミキサー部が目詰まりを起こす可能性がある場合は、MSEスタティックミキサーの上流にフィルター等を取り付けてご使用願います。
- 目詰まりした際の分解・洗浄等の際にエレメントを取り外す場合は、該当設備の電源を停止し、管内の流体が残っていないことを確認した上で取り外して下さい。
- MSEスタティックミキサーの下流には、フィルター等を取り付けてご使用されることを推奨いたします。ミキサー部はボルト及び緩み止めナットにより強固に固定していますが、何らかの事情によりボルト及びナットが外れた場合に流れ止めとなります。
適用例
ガス混合 :ガス濃度調整、溶接用シールドガス製造等 液混合 : 薬液の希釈、洗浄水製造、排水処理、濃縮原料の希釈、分散等 ガス・液混合 : スチームミキサー、エアレーション、温水製造等 MSEスタティックミキサーの適用により撹拌槽及びポンプが不要になり、連続的に流体を混合することができます。
フランジタイプ
型式 | 呼び径 | 材質 | 詳細 | |
XSF-25A | 25A | 1B | SUS316 | |
XSF-32A | 32A | 1.1/4B | ||
XSF-40A | 40A | 1.1/2B | ||
XSF-50A | 50A | 2B |
※フランジの呼び圧力は、JIS10Kです。その他の呼び圧力をご希望の場合は、ご指定お願いします。
MSEスタティックミキサー フランジタイプ カタログダウンロード
MSEスタティックミキサー:Q&A
スタティックミキサーについて
Q1.スタティックミキサーとは?
MSEスタティックミキサーについて
Q1.MSEスタティックミキサーはどのようなものですか? MSEスタティックミキサーは、多孔板形状の混合エレメントを積層した積層体を基本構成とするスタティックミキサーで、流体が積層体内部を流れる際に、分割・合流、せん断等の作用を受けながら混合されます。20A以下の配管用のニップルタイプと、25A以上の配管用のフランジタイプがあります。 詳細についてはこちらをご覧ください。